皆さん、初めまして。ReadSpeaker MAGAZINE 編集部です。
(既にReadSpeakerをご利用頂いている方、いつもありがとうございます。)デジタルボイスデザインを手掛ける我々ReadSpeakerとして「せっかくなら少しでもAI音声に関する知識、ノウハウ、トレンドなどの多種多様な情報をサイトに訪れてくれた皆さんに向けて発信できないか?」と考え、今回このような形でAI音声のいろはに関するオウンドメディアを発足しました。ここでの情報が少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。
記念すべき創刊号としましては、最近よく耳にするメタバースとAI音声の関係についてお伝えできればと考えています。特にメタバース内における購買体験(つまり仮想空間内での買い物)について、我々の調査やヒアリングで集めた情報をもとに、お話をしていきたいと思います。
そもそもメタバースとは?
メタバース:Meta(変化、何かを超えた)とUniverse(世界)を組み合わせた用語。現実世界とは違うコンピューターを使った電子仮想空間を指す。
まず、そもそもメタバースとは何か?なんとなくでしか知らない、という方も多いのではないでしょうか。前述の説明だけを聞いてもパッとイメージが沸かない方も多いはず。一方で、ニュースでも書店に陳列された本でも、最新トレンド技術といった形で特集が組まれていたり、何かと話題になっていることかと思います。
メタバースが話題化したキッカケで最もわかりやすいのが、昨年の10月頃に『Facebook』が社名を『Meta』へ変更したことではないでしょうか。元々はSNSの代表格でもある『Facebook』でしたが、社名を変えるほどメタバースに対する本気度が現れていたことが伺えるニュースでした。SNSの企業からメタバースのパイオニアへとブランドイメージがガラリと変わったなと、我々もかなりの衝撃を受けました。
それ以降、メタバースに関する新規ビジネスや企業などを目にする機会が増えましたが、読者の一部の皆さんもメタバースは「なんとなくこんな感じ?」程度の想像で理解されているのではないかと思います。他にもXR、VR、ARという言葉も同時多発的にインターネットを横断しており、それぞれの区別もつかないのが現状です。
とはいえ、実はメタバースの正確な定義はハッキリとは決まっておらず、発信者によって若干定義が違います。では、我々ReadSpeakerが考えるメタバースとは何かをお話したいのですが、その前にXR、VR、ARというワードと違いについてまず簡単に解説したいと思います。
- XR(エクステンデッドリアリティ又はクロスリアリティ):VRやARといった技術をひとくくりでまとめた用語。※海外ではエクステンデッドリアリティと称することが一般。
- VR(バーチャルリアリティ/仮想空間):装着型デバイスで360度まるで違う世界にいるような体験ができる技術。主にゴーグル型のデバイス機器を用いてゲームを遊ぶのが現在の主流。
- AR(オーグメンテッドリアリティ/拡張現実):VRと違い、スマートフォンといったデバイスの画面越しなどで現実世界の絵に仮想の絵を合成させる技術。スマートフォン越しに見たらモンスターが描画され、戦ったり捕まえたりするゲームが一つARコンテンツの例。最近ではスマートグラスなどもトレンドに。
では、上記を踏まえReadSpeakerが考えるメタバースが何か?
我々はメタバースはこれらの技術要素に加えて、以下のようなポイントがあると考えています。
- 仮想空間にいること(VRのようにまったく360度の違う世界にいる)
- 他の人と同じ空間を共有できる(他の人やアバターが仮想空間内で認識できる)
- オンラインであること(会話といったインタラクティブ性のあるコミュニケーションがリアルタイムで行える)
- 経済が存在している(NFTやブロックチェーン技術が発展し、デジタル通貨の発行や取引が行える)
- AIとの共存(人工知能をもったアバターや機能がメタバース内での利便性を提供している)
仮想世界を舞台にしたアニメ、ゲーム、映画がよくありますが、まさにそれが典型的なメタバースの例だと考えます。そこは現実世界と同様の施設や機能を持ちながらも、仮想世界でのみ体験できるAIによる便利なサービスや仕組みが沢山あり、「とっても便利な仮想世界」であると言えます。
メタバースは発展するのか
メタバースのことはわかったけど、そもそも実現するのか?という疑問は皆さん気になるところですよね。
現状メタバース自体はまだまだ架空の概念・技術体系であり、安定性の観点からみても実用化に至っていません。とはいえ、この先メタバースでどのようにビジネスを展開するかを考えておくことは重要なので、まずは過去のIT技術がどのように発展してきたかを参考に、メタバース発展過程におけるステップを以下のように想像してみました。
- 新規性の認知:「新しさ」があることは話題性でも重要。特にネット時代で話題化のソースとなってくれるアーリーアダプター(初期採用層)の人たちにとっては新しいと感じてもらえなければ意味がなく、マーケットの拡大に繋がらない。
- 用途の顕在化:新しい技術も万人にとって理解不能だとポテンシャルがあっても流行らない。例えば、会社の同僚とメタバース内のオフィスに集まって共同作業ができたり、メタバース内で企業研修を受けたり、用途が幅広く使い方がわかりやすくないと共感してもらえずニーズが生まれない。
- マネタイゼーションの実現:インターネットが普及して新しいビジネスモデルが生まれたのと同じく、メタバースの実用化によって経済が回りはじめ、多種多様な商品が登場することで初めて我々の私生活の一部として定着する。
もちろん技術が成熟する過程は険しい道のりなので、結果としていつ完成するかと聞かれると誰も答えられないのが現実かと思いますが、現状すでに投資レベルで巨額のお金が回っている以上は10年~20年以内には実現すると期待したいところです。
メタバースでの購買体験ってどんな感じだろう
ようやく本題ですが、仮にメタバースが完成したとして、そこでの購買体験どうなるのかを考察したいと思います。
まず、小売業界から見てメタバースで本当に商売できるのか・・・という懸念があるとは思うのですが、以前『Meta』(旧Facebook)のZuckerberg氏は「メタバースでも広告が売上の大部分を占める」と公言していました。であれば、当然小売もメタバース内でのデジタル化が進むと考えられます。また、欧米の調査でもメタバースが定着すれば、消費者の約25% が、仕事、社交、娯楽、教育、そしてもちろん買い物といった目的を問わず、1日1時間以上はメタバースにアクセスするようになると予測しています。
従って、例えばメタバースでの購買体験を「オンラインバーチャル空間で行われる商取引」、であると定義すると、こんなことが実現できるのではなかろうかと思います:
- 実店舗をデジタルで再現
例えば、今スニーカーが欲しかったとして、普段行く靴屋さんがそっくり再現されたバーチャル店舗に入店できる。そこで店員と話し、靴のデジタルモデルを見たり、自分のアバターやキャラクターに試着させる。商品をレジまで持っていって購入し、数日後は従来のECと同じように靴が自宅の玄関先に届いている、といったようなメタバースを使った一連の購買体験が可能に。
- 圧倒的なブランド体験が得られる
例えば、高級なアウトドア用ウェアを買うか検討していたとする。現実ならリアル店舗で商品を眺めるだけで満足するか、買ってもお出かけ用の私服にしたり、せいぜい近くの山を登るときに着たりする。それがメタバース内であれば仮想のキリマンジャロに登ることもでき、ブランドイメージに100%あったような体験を「簡単に」実現できる。
- 効率化されたメタバース内決済
例えば、仮想オフィスにログインして、世界中の同僚達と同じ作業スペースを共有しているとする。そこで何か知らの業務効率化用のアプリが必要になった。メタバースでは、仮想空間内でアプリストアを呼び出して購入し、仮想空間を離れることなく会社に請求もできる。
おわりに
まだまだ夢のような例だとは思います。が、アプリ内決済の世界市場は、2021年ですでに1,000億ドル以上の規模があり、2027年まで年平均成長率20%以上で増加すると予測されています。これにはゲーム内アバターの衣装といったデジタル商品の購入決済も含まれるので、ECやアプリ決済というチャネルが普及してきたみたいに、メタバースが新しい購買チャネルになるのは自然な流れであると考えられます。
以上がメタバースでの購買体験についてですが、次号ではAI音声がどう関わってくるのか深掘りをしていきたいと思います。すでに現実世界でも接客ロボといった対話型AI(特にAI音声の部分)は事例もあるので、メタバースでの購買体験にも大きく貢献するのではないでしょうか?
メタバースでのAI音声の具体的な活用アイディアや技術的なお話も少し織り交ぜながら考察していきますので、ぜひお楽しみに。
(次号に続く)
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