GIGAスクール端末、活用できていますか?
GIGAスクール構想により、全国の小中学校で「1人1台端末」が当たり前の風景となりました。
しかし、その一方で、多くの教育現場からこんな声が聞こえてきます。
「端末は配られたが、活用方法が調べものやドリル学習に限られてしまっている」
「読み書きが苦手な子や、日本語の学習が必要な子に、どう使えばいいか模索している」
導入された最新の端末が、一部の児童生徒にとって十分に活用されず、机の上の”文鎮”になってしまってはいないでしょうか。
実は、この課題を解決し、導入効果を劇的に高めるヒントが、海外の成功事例にありました。ある教育機関では、コースの修了率を実に54%も向上させたというのです。その鍵は、非常にシンプルながら強力な「音声の力」でした。
海外事例:なぜコース修了率が54%も向上したのか?
米国のオンライン教育機関であるPenn Foster Groupは、学習プラットフォーム「D2L Brightspace」にテキスト音声読み上げ機能としてReadSpeakerを導入しました。その結果、以下のような驚くべき成果が報告されています。
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コース修了率が54%向上
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生徒が最初のテストを受けるまでの時間が4日短縮
Penn Foster Group は、130年以上にわたり通信教育を通じてキャリア支援に尽力してきたパイオニア的存在です。学習者の成功を重視し、学習体験を一新するため、D2L と提携し、テキスト読み上げ(ReadSpeaker)をプラットフォームへ統合しました。
Lauren Stash(Penn Foster Group 広報ディレクター)
「多くの学習者、とくに大人にとって教育は人生における唯一の優先事項ではありません。どこにいてもプログラムを学習できることが重要です。ReadSpeaker を Brightspace に導入することで、あらゆるタイプの人々が柔軟に学習できるようになります」と語っています。
D2L のグローバルアクセシビリティ責任者である Dr. Sambhavi Chandrashekar は次のように述べています
「私たちは、生活段階や能力にかかわらず教育は誰にでも開かれているべきだと信じています。ReadSpeaker の統合は、Brightspace 上で学習者のニーズに沿った個別化された学びを支援し、コンテンツや課題、ディスカッション、クイズへのアクセスを強化します。Penn Foster Group をサポートできることを誇りに思います」
Dr. Andy Shean(Penn Foster Group 学習担当チーフオフィサー)は、
「パイロットの成功を踏まえ、ReadSpeaker を全学生に拡大しました。学習者のエンゲージメントと修了率が向上し、キャリアに直結した学びを提供するという私たちのミッションが、より意味のある形で進展しています」と述べています。
「文章を読み上げる」という機能が、なぜこれほど大きな成果に繋がったのでしょうか。
理由は、学習の選択肢が増え、多様な生徒のニーズに応えられるようになったからです。
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柔軟な学習スタイル: 通学中や作業をしながらでも「聞きながら」学習が可能に。
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マルチモーダル学習: 「目で読みながら、同時に耳で聞く」ことで、内容の理解度と定着率が飛躍的に向上。
- アクセシビリティの向上: 印刷された文字を読むのが困難な生徒も、耳から聞くことで学習内容をスムーズに理解できるように。
この事例は、デジタル教材に「聞く」という選択肢を加えるだけで、学習者の意欲と成果を大きく引き出せることを明確に示しています。
「音声」が日本のGIGAスクール構想を次のステージへ導く
この成功は、決して海外だけの話ではありません。リードスピーカーが持つ「音声の力」は、まさに今の日本の教育現場が抱える課題を解決する可能性を秘めています。
1. 「誰一人取り残さない」インクルーシブ教育の実現
通常学級には、ディスレクシア(読み書き障害)の傾向がある子、外国にルーツを持ち日本語の読解に苦労している子、視覚よりも聴覚からの情報処理が得意な子など、多様な個性を持つ子どもたちがいます。
音声読み上げ機能は、彼らにとって強力な学習支援ツールとなります。教員が付きっきりで読み聞かせをしなくても、生徒は自分のペースで何度でも繰り返し聞いて学ぶことができ、学習の自立を促します。
2. 多忙な先生の「働き方」を改革する
「このプリント、A君には全部読み聞かせてあげないと…」
「音声教材を作りたいけど、自分で録音する時間がない…」
このような先生方の負担を、リードスピーカーは劇的に軽減します。あらゆるデジタル教材をボタン一つで音声化できるため、教材準備の時間が短縮されるだけでなく、個別対応が必要な生徒の学習をテクノロジーに任せることで、先生はより創造的な業務に集中できるようになります。
3. GIGAスクール構想の「投資効果」を最大化する
全国に配備された端末は、いわば「器」です。その価値は、中でどのような「ソフト」が使われるかによって大きく変わります。
リードスピーカーは、既存のデジタル教科書や教材、学校のWebサイトに簡単な設定で導入でき、今ある端末をすぐに「多機能な学習支援ツール」へとアップグレードします。これは、GIGAスクール構想への投資効果を最大限に引き出す、賢明な一手と言えるでしょう。
「聞く」選択肢が、学びの未来を切り拓く
子どもたちの可能性は無限です。しかし、その学び方が「読む」だけに限定されていては、その可能性を十分に引き出すことはできません。
デジタル化された教材に「聞く」という選択肢を加える。
たったそれだけのことで、これまで学習に困難を感じていた子どもたちの瞳が輝き、クラス全体の学習意欲が向上し、先生の働き方も変わっていく。私たちは、そんな未来を信じています。
あなたの学校でも「音声の力」を体験してみませんか?