こんにちは。ReadSpeaker MAGAZINE 編集部です。

皆さんはデジタル教科書をご存じでしょうか?現在多くの学校で普及してきており、今後は世界中でデジタル教科書があたりまえになると言われています。学校に現在通われているお子様がいらっしゃる親御さん、Z世代の学生の方々でしたら馴染みがあるかもしれませんね。

ということで、今回はデジタル教科書と音声読み上げとの関わりについて記事を執筆しました。

 

デジタル教科書とは?

デジタル教科書とは、文字通り紙の教科書を、学習用途でパソコンや電子パッド等の各種デバイスで表示できるように電子化(デジタル化)したものです。

 

※Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology

 

現在日本ではデジタル教科書には主に「学習者用デジタル教科書」と「指導者用デジタル教科書」の2種類があります。

  1. 学習者用デジタル教科書については文部科学省によりこのように定義されています:学習者用デジタル教科書とは、紙の教科書の内容の全部(電磁的記録に記録することに伴って変更が必要となる内容を除く。)をそのまま記録した電磁的記録である教材です(学校教育法第34条第2項及び学校教育法施行規則第56条の5)。

    言い換えると紙の教材内容が過度な編集などがされずにデジタル化したもの、という理解になります。近年はアニメーションやまとめ動画などのコンテンツの活用も盛んになってきていますが、元々の教科書にはありませんので、これらはあくまで補助教材という位置づけになると理解できます。

 

  1. 指導者用デジタル教科書の明確な定義は文部科学省からは提示されていませんが、こちらは学習者用デジタル教材と違い、生徒への掲示用に動画・音声・アニメーション・スライドなどの追加のリッチコンテンツが揃っている教材になります。教科書ではなく、あくまで指導用の補助教材という考え方だと理解できます。

 

 

デジタル教科書のメリット

デジタル教科書を使うメリットとしてはやはり生徒が使いやすいようにパーソナライズ化できる点が大きいです。

 

  • 文字、グラフ、地図、絵などの教科書の要素を拡大・縮小し見やすくできる
  • 音声の読み上げ再生で音声による学習ができる ※こちらは後ほど詳しく解説いたします。
  • 端末上でメモを取ったり、必要箇所へのマーカー作業の自由度が高まる
  • 端末ごとに生徒ごとのログデータを取り学習の進捗状況を把握・分析できる
  • 漢字にルビをふる
  • 教科書の持ち運びが不要になる等

 

もちろん、デジタル化をしたからといって紙の教材を全て廃止していいということではなく、状況に応じて補助教材と共にデジタル教科書を併用することで、現代における生徒の学習効果の最大化を図るということが重要になってきます。

 

 

なぜデジタル教科書は必要なのか?デジタルインクルージョンについて知ろう!

 

デジタル教科書の必要性についてはまず1990年代後半ごろから提唱されたデジタルインクルージョンの理解が必要です。

 

・デジタルインクルージョンとは: 個人や集団が人種、場所、年齢、障害、性別、文化といった制限に縛られずに情報通信技術(ICT)に自由にアクセスし、利用できることが社会の発展に繋がるという考え。

 

これは、1990年代からインターネットが急速に普及し、情報社会への加速が予測された中で個人のデジタル技術への対応力が社会的な格差を生むことが懸念されるようになり提唱されたものです。従って、この格差をいかに無くすかが世界中で取り組むべきテーマになりました。これは今現在もなお続いている世界共通課題ですが、特に日本においては教育分野におけるICT整備が遅れており、デジタル教科書の普及の壁になっているとも言えます。

 

そして、デジタルインクルージョンの考えに基づき、政府が2019年頃から発表したGIGAスクール構想という政策があります。GIGAスクール構想では、ICT整備により生徒1人に学習用端末を1台持たせ、学習者のポテンシャルを最大限に引き出すというビジョンを掲げています。まさにデジタルインクルージョンという考えに基づいた政策ですね。全ての生徒が学習用端末を使って勉強をするということはデジタル教科書の存在は必要不可欠であり、ICT同様にデジタルコンテンツとしてデジタル教科書の制作と普及は急務であると考えます。

 

 

デジタル教材の普及率とこれからの成長規模

現在の日本におけるデジタル教科書の普及率を見てみたいと思います。文部科学省が公表している令和4年の数字ですと、全国の公立小中高校と特別支援学校のうち、児童生徒用のデジタル教科書を導入した割合は2022年3月時点で35.9%となり、前年同時期(6・2%)の5倍以上になっています(直近でもの凄く伸びましたね)。

 

また、調査会社の富士キメラ総研の発表では2030年度の教育DX/ICT関連全体の国内市場が、2021年度比149.7%の3,644億円としています。その中でもデジタル教科書とコンテンツ関連が2割程度を占めており、2030年度に500億円に達する見込みとなっているようです。

 

中でも、我々「ReadSpeaker」が特に関心を集めているのが「英語」です。2024年度より小中学校の「英語」でデジタル教科書が先行導入されるとのことで、例えば音声読み上げによる正しい発音練習がいつでもどこでも簡単にできるようになる未来を見据えています。英語教育は日本としても大きな課題だと認識していますので、優先的に導入されるということも納得感があります。

 

 

デジタル教科書と音声アクセシビリティ

音声技術が教育現場に与えるインパクトについて、「ReadSpeaker」の例を交えてお話します。

 

-コロナ禍で見えた学習環境の多様化

世界全体でコロナ禍による学習環境の在りようは大きく変わったと思います。実際、「ReadSpeaker」もコロナ禍によるインパクトを実感するに至りました。音声読み上げがe-ラーニングシステムを活用した学習システムが学生にとってより利用しやすく、効果的なものにするためには不可欠なツールだと認知されはじめ、デジタルインクルージョンが比較的進んでいる欧米で問い合わせが殺到しました。

 

以下、ReadSpeaker計測した音声合成の利用率です。遠隔での学習環境整備が飛躍的に高まり始めた2020年3月頃を前年と比較すると、顕著に増加したことが確認できます。

 

 

もう少しデータを紐解いていったところ、以下のような実績がありました。

・教科書出版社のインテグレーション全体で32%の増加

・ReadSpeakerが学習管理システム(LMS)に統合されている教育機関では44%の増加

・イタリアのLMSデータでは利用率が165%の増加、とある大学では利用率が2倍に

 

「ReadSpeaker」の音声がデジタル教科書やe-ラーニングシステム上で大きく役割を果たしたということがわかりました。

 

 

-デジタル教科書に必要な音声とは?

最近ではニュースの読み上げや音声コンテンツ視聴でも倍速で聞く、”ながら聞き”をする人が増えている傾向にあります。そのため、デジタル教科書を含めコンテンツの音声読み上げ用の音声の質は利用者の学習体験を大きく左右しかねません。

従って、

・日本語と英語の音声読み上げの質が良い

・幅広い言語数に対応しており、将来的に対応言語の拡張性が見込める

・音声読み上げのレスポンスが良く、学習者にとって快適である

 

これらの要件を満たす音声は必須だと考えられます。

 

 

-Moodle公式パートナーに選ばれました!

「ReadSpeaker」ではデジタルインクルージョンの発展に貢献すべく、人、デバイス、プラットフォームを問わないアクセシビリティ向上のために常に品質の改善に努めています。すでにお持ちのe-ラーニングシステム、デジタル教科書や様々なLMSとのインテグレーションが可能です。

 

今年2022年の9月に世界最大のe-ラーニングシステムを提供するMoodle社の公式パートナーとして「ReadSpeaker」が参画しました。

 

 

“ReadSpeaker for Moodle”の音声合成プラグインは、簡単に実装でき自動的にMoodle内で直接コンテンツやデジタル教科書を音声化することができます。学習者はワンボタンで学習コンテンツの高品質な音声読み上げを体験できます。

 

紹介動画もありますのでよろしければご覧ください。

解説動画は英語のみとなっておりますが、Moodleでは音声として日本語もご提供しております。

 

 

 

日本のデジタル教科書の普及にあたって

音声の質はデジタル教科書の重要なパーツになると確信しています。「ReadSpeaker」は音声品質の高い日・英・中・韓のほか、最近リリースしたベトナム語も含む計44ヵ国の言語数に加え、世界中で圧倒的な実勢を持っています。お手持ちのパソコンで簡単に使用いただけるソフトウェアや開発キット(SDK)のトライアル版もお申込みいただけますので、デジタル教科書や学習コンテンツの音声読み上げのご導入や研究をお考えでしたらぜひご相談くださいませ。

「ReadSpeaker」に関するお問い合わせはこちらから。

 

 

出典情報

    1. https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm
    2. https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/seido/1407731.htm
    3. 「GIGAスクール構想の実現とは」