タブレット化による柔軟な運行対応と、日本語読みに近づけた聴き取りやすい英語放送を実現

概要
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項目 |
内容 |
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導入企業 |
九州旅客鉄道株式会社(JR九州) |
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導入製品 |
音声合成ソフト |
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導入話者 |
・日本語女性:RISA |
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開発協力 |
株式会社NSD |
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活用方法 |
在来線普通・特急列車のiPad向け『列車内自動放送アプリ』における英語車内アナウンス |
導入の背景と課題
既存の専用機器による操作性と、多言語対応・コストの課題
JR九州様では、安全性の向上や業務効率化を目的に、2018年よりスマートデバイスの導入を進め、独自開発の『運転士支援アプリ』を運用されていました。その後、在来線や特急列車のワンマン化移行を見据え、さらなる乗客サービス向上を目指す中で、以下のメリットと新たな可能性が見えてきました。
- コストと柔軟性の向上 自社内で放送音声の作成ができるようになり、内容の変更や修正を簡単かつ迅速におこなえる環境が整いました。
- 多言語対応の強化 これまでの日英の放送をベースに、必要に応じて中国語や韓国語の案内も柔軟に追加・拡充できるようになりました。
- おもてなしのさらなる追求 自動放送の普及に伴い、より高度で快適な放送へのニーズが高まっていました。特に英語放送においては、駅名などの固有名詞をより正確に、訪日外国人にとって直感的に聞き取りやすい形で届けることが求められていました。
こうした背景から、持続可能な移動サービスとお客さまサービスの向上を両立するため、専用の放送装置を必要としないiPadベースの『列車内自動放送アプリ』を共同開発(JR九州・NSD・ReadSpeaker)するに至りました。
ReadSpeaker選定の理由と「秋乃ろーざ」さん起用の背景
外国人に「直感的に伝わる」駅名発音と、美しいネイティブ英語の両立
新たな英語放送の構築にあたり、従来の合成音声から、NHKラジオの英語講座の講師(パーソナリティ)としても広く知られる秋乃ろーざさんの音声をベースにした、JR九州オリジナルの音声合成エンジンを新規にプログラム開発しました。
秋乃さんのアナウンス音声

【秋乃ろーざさん プロフィール】
アメリカ育ちのナレーター、女優、モデル。NHKラジオ「ラジオ英会話」のスタジオパートナーとして活躍中。2021年に日本国籍を取得し、茶道や着付けにも精通。
今回の英語音声開発において最もこだわったのは、「聴き取りやすいネイティブ発音」と「実際の日本語読みに近い正確な駅名発音」の高度な融合です。
一般的な英語音声の場合、英語の発音規則のまま発音してしまうため、「日本語の駅名や路線名」のアクセントやイントネーションが、実際の日本での読み方とかけ離れてしまうという課題がありました。これでは、看板の表記(ローマ字)を見ながら旅をする外国人観光客が、直感的に目的地を識別しにくくなります。
そこでJR九州様では、ベースとなる車内放送を美しいアメリカ式の英語で構成しつつ、固有名詞である「駅名」「愛称名(列車名)」「路線名」に関しては、あえて日本語通りの発音(日本式の読み方)となるよう、極めて繊細なプログラム設定を施しました。
【なぜ「秋乃ろーざ」さんがベストな人選だったのか】
長年、NHKのラジオ講座等で「日本語の響き」と「英語の正確な発音」の双方に深く精通されている秋乃さんだからこそ、この「英語のアナウンスの中に、違和感なく日本語読みの駅名を美しく融合させる」という高度な要望に応えることができました。自然で心地よいアナウンスのトーンを保ちながら、乗客が目的地をはっきりと識別できる理想的な放送を実現できたのは、秋乃さんがまさに「ベストな人選」であったと言えます。
※なお、日本語・中国語・韓国語放送は従来通りReadSpeakerの音声ソフトを利用しています。特に日本語の「Risa」については、JR九州様の駅名などの固有名詞の読み上げ品質が大幅に改善された最新版のソフトウェアを導入し、よりクリアな車内放送を実現しています。
開発秘話:列車内特有の騒音に負けない「声の高さ」と細かなチューニング
今回の秋乃ろーざさんのオリジナルボイス開発にあたっては、音声合成の元データとなる収録(レコーディング)時に、JR九州の担当者様も立ち会いました。駅名の読み方など、発音指導を交えながら丁寧に収録が進められました。
さらに、現場で実際の放送音源を作成する段階でも、細かな読み方のパラメーター調整(チューニング)が可能な為、車内放送として最適な音声を徹底的に追求しています。
列車の騒音に負けない「高いトーン」が決め手に
従来の英語音声に比べて、秋乃さんの声は通りやすく、トーンが少し高めという特性があります。走行中の列車内には「ガタガタ」という騒音が常に入りますが、「声のトーンが高い方が、騒音にかき消されず圧倒的に聞き取りやすい」という音声学的なメリットが、今回の導入で大きな効果を発揮しました。
導入の効果とメリット:業務効率化と付加価値の創出
開発協力パートナーである株式会社NSD様と共に構築したシステム、および新音声の適用により、業務効率化とお客さま満足度の双方で大きな効果が生まれています。
- 圧倒的な聴きやすさと、SNSでも広がる高い評判
秋乃さんによる新しい英語音声は、声の質やトーンが非常にクリアで聴きやすく、社内だけでなく乗客の皆様からも大変好評をいただいています。導入直後からYouTube等のSNSでは、ファンによる録音動画がアップされるなど、耳に残りやすい魅力的なアナウンスとして注目を集めています。
- 乗務員の操作負担をゼロへ(自動化の実現)
スマートデバイス(iPad)のGPS等を利用し、駅を離れると発車後の放送が流れ、駅に近づくと到着前の放送がアプリの判断で自動的に流れる仕組みを構築しました。これにより、運転士がアナウンスのたびに起動ボタンを押す手間が一切なくなり、運転への集中をサポートするとともに操作ミス(誤放送)の防止にもつながっています。
- 音源の「翌日即時反映」と、イベントへの柔軟な対応
NSD社と共同開発したサーバー管理システムにより、作成した新音源を「翌日には現場の端末へ即時反映」できるようになりました。これにより、放送内容の変更が非常にスピーディーに行えるほか、テキストを入力するだけでナレーションを作成できるため、車内CMの柔軟な運用や、期間限定のイベント(車内にBGMを流す等)といった、楽しい乗車体験の提供にも役立っています。
現在の運行状況

新しい英語音声は、九州各地の一部の特急列車、普通・快速列車で運用されています。



