COMPANY:株式会社高知システム開発

SERVICE:speechEngine SDK

INTERVIEWEE:北村様

 

 

導入した目的:視覚障がい者向けのスクリーンリーダーソフトの読み上げ音声として

今までの課題:読み上げのレスポンスが不十分で、納得のいく音質が得られなかった

導入後の効果:高い満足度からスクリーンリーダーの市場シェアNo.1を獲得

 

 

1988年に創業し、視覚障がい者向けの支援ツールを開発・販売し続ける株式会社高知システム開発。日本初の点字音声ワープロを開発し、音声合成技術を取り入れたスクリーンリーダーの開発などを手掛け、利用者だけでなく社会的にも無くてはならない存在として日本のアクセシビリティ社会を支えています。今回、「ReadSpeaker」のAI音声エンジンを使ったスクリーンリーダー「PC-Talker」についてお話を伺いました。

 

PC Talker 紹介動画

 

 

 

デジタルバリアフリーの変革を創る

-まずは、高知システム開発について概要を教えてください

 

北村:会社の起源は、1983年に高知県立盲学校、北川紀幸、有光勳の両先生の依頼と、筑波大学付属盲学校、長谷川貞夫先生などの協力を得て視覚障がい者用ワープロの開発に着手したことが始まりです。その前身としては、コンピューターシステムハウスという業務で、地元のお祭りやイベントなどにコンピュータ技術を応用したプレゼンスライドなどを提供していました。初の視覚障がい者向けワープロソフトとして、1985年頃にパソコンで点字入力した文字を読み上げ、編集できる「音声装置付 AOKワープロ」を開発しました。高知システム開発が株式会社に法人化されたのはそれより後の1988年、昭和63年4月になります。設立後、windowsが誕生しパソコンも徐々に高性能になり本体から音を出すということが可能になったことをきっかけに、それを利用した製品開発の結果が今の「PC-Talker」を始めとする一連の製品です。

 

 

-もともとは音声とは関係ないビジネスをされていたところから展開されたのは興味深いです

 

北村:そうなんです。当時は社長あてに突然開発依頼のお話がきたそうですが、依頼された北川先生、有光先生の情熱に応えたいということで「よし、やろう」ということになったと聞いています。もともと視覚障がい者に対する知識もまったく無かったのですが、「東京帰りのコンピュータ技術者が高知にいる」と両先生が聞きつけ、依頼を受けましたので、持っている技術がお役に立てればとスタートしました。

 

 

-日本におけるバリアフリー環境の変化について教えてください

 

北村:はい。デジタル面でのバリアフリーですが、ワープロ機からパソコン主体の生活社会になったことは大きな変化だったと認識しています。パソコンの普及により情報を外から取得するシーンが一般の人にとってもの凄く当たり前になりました。デジタルデバイスやインターフェースが多様化する一方で、視覚障がい者を考慮した環境や機能の整備が追い付いていないと感じていました。TwitterなどのSNSの普及時期においても情報発信を視覚障がい者がするのはハードルが高い時期もありました。健常者、視覚障がい者といった枠にとらわれずに同じスピード感でデジタル時代を歩める社会が必要でした。ただし、少しずつ変わってきているのも事実です。国の制度として「日常生活用具給付」や「情報通信支援用具」というのがあり、申請すると購入にあたり、補助を受けることができるよう制度が整備されました。情報面でも、普通の印刷物を読むことが困難な方々のために点字図書館などが作成を手がけ、本をデジタル化させて音声で聞かせるような取り組みも始まっていますので、昔に比べたら読書バリアフリーというのも少しづつ進んでいますね。

 

 

「PC-Talker」に注ぐ情熱と技術

-「PC-Talker」のこだわりやポイントなどありますか

 

北村:以前は、パソコンの能力が低く、外付け音声装置で音を出していました。今はパソコンソフトで動作する高性能な音声エンジンが提供されていますので肉声に近い音声で聞き取りやすくなりました。視覚障がい者は耳のみで情報をインプットするので、速度と音質が悪いとストレスになってしまいます。その点は気を付けました。

 

 

-その当時は満足のいく音質を提供することは技術的にもハード的にも難しかったのではないかと推測しますが

 

北村:はい、その時代は満足いく音質を出すのは大変だったようです。
当時、いくつかの音声合成基盤を試験したり、音声ROMを書き換えてもらって自社製の音声合成基盤を作成したりしました。スピーカーは音声を聞き取りやすい特殊な特性のものを何種類も試験しました。収容ケースの前面には厚手のアルミ板を使用し、音響を改善しました。

そして、関係者から高評価をもらえるまで、製品を出荷しないという徹底ぶりでした。
今は音声合成エンジンを搭載していて、改良は機能と操作に関するソフトの面に焦点を当てています。でも、その前はハード面でのこだわりがすごかったんです。
さらに、時代に合わせたプラットフォームへの対応も忘れていません。
Windowsが登場する前には、MS DOSに対応した製品も提供していました。
タイムリーに視覚障害者をサポートするために、時代に合わせてプラットフォームへの対応を進めることはとても重要な要素なんですね。

 

 

-AI音声導入のきっかけ、決めてを教えてください

 

北村:最初に積んでいた音声合成エンジンの音声の質に満足してなかった時期があったのですが、そこで「ReadSpeaker」の音声合成エンジンSDKに出会いました。肉声感もあり「PC-Talker」に最適な音声だと実感じました。先ほど申し上げたレスポンス速度がユーザーにとっても満足いくようなものでしたし、「あ」「い」「う」などの単音は合成感が強かったのですが、「ReadSpeaker」側で一音ずつ収録し直してもらったんです。手厚いサポートもしてくれたのはありがたかったですね。

 

-お客様の満足度はどうですか?

 

北村:おかげさまで、すごく聞きやすいと満足の声が多く、仕事の効率や生活面でもポジティブに影響していると聞いています。もちろん、聞きなれている音声のほうが良いということで、以前の音声を使いたいという人もはじめの頃は一定数いましたが、実際に「ReadSpeaker」の音声を聞いたあとに、こっちのほうが良いね、というお声もたくさんありました。

 


-嬉しいお言葉ですね。内閣総理大臣表彰を受賞されましたが、受賞のきっかけや経緯を教えてください

 

北村:まず背景をご説明すると、実は高知には全国でも珍しい健常者と視覚障がい者の双方にとって利用しやすい、「図書館」と「点字図書館」が一つの施設になっている「オーテピア」があります。そこの館長様から「PC-Talker」を県に推薦いただいたというのが経緯です。実際にデモンストレーションを審査委員会に対して行ったところ、ご好評でした。高度情報化社会の発展に合わせて、視覚障がい者が排除されることがないよう努めてきた、という点に関して評価いただきました。いわゆるデジタルインクルージョンの観点の貢献です。そして、利用者への出来るだけのサポートと、視覚障がい者向けソフトの中で80%以上のシェアを誇っている点も評価いただきました。

 

 


写真・・・株式会社高知システム開発 代表取締役社長 大田博志 様 と 奥様

 

 

 

-今後のビジョンをおしえてください

 

北村:もっと多くの人に「PC-Talker」を知ってもらいたいです。もし私達の手の届かないところに困ってらっしゃる方がいるのであれば、支援が必要なときにすぐに手が届くようなツールや存在でありたいです。読み書きの支援を提供して就労や学習の支援をもっと追及したいですし、さらには娯楽の面でも今後は支援ができたらなと思います。また、AIを駆使してもっと使いやすいモノを作りたいです。キータッチやパソコンによって入力の具合が変わったりするのもストレスなので、AIによる何かしらの技術でもっと細かいストレスを解消できたらと思っております。

 

 

-ありがとうございました

 

 

「ReadSpeaker」について

「ライフケア」「情報・通信」の分野で、国内外トップクラスのシェアを多数持つHOYA株式会社の事業ブランドのひとつで、AIを使った音声合成, 人工音声ソリューションを開発しています。20年以上前から音声合成ビジネスを行っており、日本国内では大手企業をはじめとして1,700社以上、グローバルでは10,000社以上にご利用いただいています。

 

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