ReadSpeaker(音声合成)とクラウドの融合がもたらす、持続可能な次世代の旅客案内サービス

項目

内容

導入企業

九州旅客鉄道株式会社(JR九州)

導入製品

音声合成ソフト『ReadSpeaker』Speech Engine SDK /

NoiseMaster

導入話者

日本語女性:RISA / 日本語男性:AKIRA
英語男性:PAUL / 英語女性:BETH
中国語女性:HONG / 韓国語女性:HYERYUN

共同開発

JR九州システムソリューションズ株式会社
株式会社カンノ製作所

活用方法

『統合旅客案内システム』における多言語駅構内アナウンス

 

1. 導入の背景と従来の課題

九州旅客鉄道株式会社(JR九州)では、お客さまサービスの向上と現場業務の抜本的な改善を目指し、「未来鉄道プロジェクト」の一環として統合旅客案内システムを開発し、各駅への導入を推進しています。この統合旅客案内システムは、列車の運行情報を一元的に管理し、駅の発車標や放送設備、WEBアプリ「JR九州トレインナビ」へリアルタイムに情報を提供するシステムです。その中で、駅の案内放送を自動生成する仕組みとして、極めて高い明瞭性を誇る音声合成ソリューション『ReadSpeaker』が導入されました。

刷新前の案内運用においては、主に以下の2つの構造的課題に直面していました。

  • 駅ごとに音声データを管理する運用負荷 従来の「駅分散型」システムでは、100駅以上点在する放送制御装置ごとに収録済みの音源データを保持していたため、ダイヤ改正や新駅・新列車設定のたびに現地での差し替え作業が必要となり、極めてアナログで重い業務負荷が発生していました。


  • 異常時における多言語案内の難しさ ダイヤ乱れ等の緊急時には駅係員による肉声放送に頼らざるを得ず、日本語中心の案内となるため、インバウンド需要で急増する訪日外国人のお客さまへ必要な情報をタイムリーかつ正確に提供することが困難な状況でした。

2. 課題解決の切り札:『ReadSpeaker』採用の決定打

これらの課題を抜本的に解決する「クラウド集中制御」の要として、テキスト情報から自然な音声を瞬時に生成できる『ReadSpeaker』が選定されました。

  • 音源の即時生成と「吹き込み作業」の完全撤廃 クラウド上のデータベースにテキストを登録するだけで高品位な音声を自動生成できるため、従来発生していたスタジオ収録や現地での差し替え作業といった音源管理プロセスの大幅なスリム化を達成しました。

  • グローバルスタンダードな多言語対応能力 日本語に加え、英語・中国語・韓国語の4言語に対応。国内外のお客さまへ均一な情報提供を可能にする次世代の多言語インフラとしての高い拡張性が評価の決め手となりました。

  • 導入アプリとの辞書データ共有
    JR九州ではすでに列車内自動放送アプリにおいてReadSpeakerを導入していました。駅構内放送にも同一エンジンを採用することで、駅名・運行用語などの固有名詞辞書データをそのまま共有・相互活用することが可能になりました。列車内と駅構内とで発音や読み上げのブレがない、統一された高品質な音声案内を実現しています。

3. システムの活用と具体的成果

① 指令からの一斉配信で異常時の情報を多言語化

 

本システムの真価は、ダイヤ乱れ発生時の「緊急お知らせ案内」において最も鮮明に現れます。列車の運行を管理する指令センターから日本語で案内文を入力するだけで、全対象駅の発車標やスマホアプリにテキストが表示されるとともに、ReadSpeakerが極めてスムーズな4言語の案内音声を自動生成し、リアルタイムで各駅に一斉配信されます。

これにより、従来のような駅ごとの対応のバラツキを解消し、広域にわたる迅速かつ統一された緊急情報の提供が可能となりました。

② 騒音を貫く「クリアで聞き取りやすい」高品位音声

 ReadSpeakerを利用した案内放送

列車の走行音や人混みの喧騒に包まれる駅構内では、案内の「聞こえやすさ」が生命線となります。ReadSpeakerの導入後、現場からも「音の輪郭がはっきりしており、非常に聞き取りやすい」と高く評価されており、あらゆる状況下でお客さまへ「確実に伝わる」放送環境を実現しています。

4. 導入による主要な改善効果

  • 旅客サービスと利便性の劇的向上 多言語による高精度な情報をタイムリーに発信することで、日常の利便性向上に加え、異常時の迅速な行動判断とお客さまの不安解消、駅の混雑緩和を達成しました。

  • 駅業務の効率化と案内業務の負荷軽減 自動放送の高度化により、駅係員が放送操作やデータ管理から解放され、対面案内や安全確保といった付加価値の高い現場対応に専念できる環境が整いました。

  • 保守管理コストの最適化と平準化 駅ごとの重厚な制御設備を廃止し、クラウド集中管理へ移行したことで、将来の設備更新費用の抑制と日々のメンテナンス工数の大幅削減を実現しました。

  • 持続可能な案内サービスの構築 無人駅や夜間の不在時でも正確なリアルタイム案内が自動継続される仕組みを確立し、24時間365日の安定した情報提供体制を構築しました。

5. 今後の展開とサービス拡大の展望

JR九州では、今後、在来線の対象駅(約300駅)へと本システムを順次拡大し、全九州エリアを網羅する案内インフラの構築を力強く推進していく方針です。

信頼の音声合成技術『ReadSpeaker』との強固なパートナーシップにより実現したこのイノベーションは、日常の快適な移動を支えるのみならず、不測の事態においてもすべてのお客さまへ「安心」を届ける次世代旅客サービスの核として、進化を続けていきます。